はつ恋

こんなにも誰かの事を愛せるなんて

彼との密会は



平日はお互い 疲れに負けて 逢えない日が

増えたけど、その分 土日に逢える時は

濃密に過ごそうねって話し合った

      


土曜日は彼の仕事に合わせて、

午前中が仕事なら午後から夕方まで



休みなら彼は奥さんに仕事だって

うそをついて、朝から夕方まで一日ホテルに

お篭りコース



長い時間一緒にいられるのは嬉しいけど


する事したら携帯のアラームをセットして

「ちょっとだけ寝る」

って言う彼


もう少し余韻に浸ったりしたいのに寂しい 


それでも彼の腕まくらで私も寝る事にしよ



先に彼の寝息が聞こえると

私は 眠れなくなる



彼を起こさないようにそっと

こっちに寝返り

あっちに寝返り



眠れない

つまらない

淋しい



そっと起き出して携帯見たり

また彼の隣で横になったり



やっと起きた彼とまたイチャイチャして

二回目求められたりして




おしゃべりしながら髪の毛をさわさわしてくる

彼に寄り添って 幸せな時間



「また来ようね」



奥さんに怪しまれないように時間を逆算して

早めに帰り支度




別れ際、私の車からコソコソ自分の車に

乗り込む彼



バイバイって手も振らないし

一度も振り返らないし


敢えて素っ気なく

そうするって前に聞いてたから

私も彼の方は見ない


強がってはみるけれど 私の一番淋しくて

悲しい瞬間

マメじゃない彼


彼と一度別れてから半年くらい間が空いて

その間に彼は家を建てて、引越しもして


彼専用の書斎ができて


奥さんからの束縛も少し緩くなって


私へのメールもしやすくなったはず



なんだけど、あまりマメじゃない彼からは

メールもあまり来ない



彼と逢えるのは平日、彼の仕事が早く終わり

そうな時


「今日 早く終われそうだから逢える?」


って連絡がきた時と



土曜日、仕事のふりをしてホテルに篭るか


あとは日曜日の早朝、彼の子供の部活の

送りに行った帰りに短時間だけ

ホテルに行くか




平日の時は少しドライブして

夜景を見て おしゃべりして帰るパターン




けど平日は私も残業があって帰りが遅いし

家事もしなきゃだし

彼とは逢いたいけど

正直言うと疲れてる



急なお誘いに逢いたい気持ちが勝つか

疲れが勝つか



何回かに一回は


「ごめん 今日は凄く疲れてて」


って言って断る事もしばしば




そうすると彼も

せっかく逢いたくて誘っても断られるなら

自分も疲れてるし

誘わずに家に帰ろうって気持ちになるらしく



少しずつお互いの気持ちにズレを

感じるようになっていった




彼の仕事も忙しくなって仕事関係で抱える

ストレスも相当なものだったと思う



そういう時こそ癒してあげたいけど

頼ってくれないとそれもできない



マメじゃない彼から放置される事もけっこう

あって



携帯を握りしめ

彼からの連絡を待つしかない

ごめんねとありがとう



彼とよりを戻すなら後輩君とは

きちんとさよならしてから

彼のところに行きたい




優しい後輩君には 辛いとき、寂しい時

支えてもらってとても感謝してる

でも 愛にまでは発展しなかった



本当の事はとても言えないけど


もう会えない



その事を告げると後輩くんは驚いていた



後輩君には きっと私よりふさわしい人が

いると思う


年下でかわいくてそういう人と出会って

恋愛して幸せな結婚してもらいたい   




後輩君は



「他に誰か好きな人がいるんじゃないか

ずっとそう思ってた」



そう言われて 泣いた

ただただ ごめんねと ありがとうしか

言えなくて



離婚する時、もしも後輩君の存在がなかったら

私はどうしていただろう

一人で乗り越える事ができただろうか



結果として、そのタイミングで告白してくれた

後輩君に甘えて、頼って


更には私のわがままで傷つけてしまった



許してとは言わないけど


後輩君には幸せになってほしい